1日6試合でも三脚を使わない理由5選|バスケ撮影の手ブレを止める方法

まぐろさんの映像を見て、ぐらついているところはありましたか。

画面が揺れていて見づらい、と感じた場面はありましたか。

あまり気になったことはない、という方が多いのではないかと思います。

実はこれ、三脚を一度も使っていません。7年間、一度もです。1日に6試合を撮り切った日も、カメラはずっと手に持ったままでした。

「手持ちなのにブレないなんて、特別な機材を使っているんでしょう?」と思われるかもしれません。たしかに、カメラやレンズの手ブレ補正機能には助けられています。ただ、それだけで止まっているわけではありません。そして三脚は、使いません。

三脚を使わないのには、はっきりした理由が5つあります。そしてその5つ目に、手ブレを抑える本当の答えがあります。

7年間、バスケットボールの撮影と編集だけに専念してきました。中学、高校、大学、社会人、3×3まで、数えきれないほどの体育館に足を運んでいます。その全てを、撮影者一人・カメラ一台で撮り続けてきました。

今回は、その現場で出した結論をお伝えします。

この記事を書いたのは

まぐろさん

バスケ専門メディア。YouTubeチャンネル登録者10万人突破、総再生回数1.58億回超。7年間にわたりバスケットボールの撮影・編集・発信を専業として続ける。全国優勝経験のある強豪校への密着取材も多数実施。バスケ動画撮影・編集・配信のプロフェッショナル。

カメラを手持ちで構えてバスケットボールの試合を撮影する様子

三脚を使わない理由は、この5つ

撮影を始めたばかりの方が最初に買う機材として、三脚はとても人気があります。「ブレないように固定する」という発想は、とても自然だからです。

ですが、バスケットボールのハイライト映像を撮るという目的に限って言えば、三脚は選択肢から外れます。順番に見ていきましょう。

理由1|三脚は、個人を追いかけられない

まず一番大きな理由です。

未経験者の方は、コート全体を引きの画角で撮ろうとしがちです。5人対5人の動きが全部入る画角。三脚で固定するなら、この撮り方が向いています。

ですが、ハイライト映像で求められているのはそこではありません。ボールを持っている選手の表情、抜き去る瞬間の一歩、シュートを決めた直後のリアクション。見たいのは全体ではなく、個人です。

個人を追いかけるということは、カメラが常に動き続けるということです。ボールが右に動けば右へ、速攻が始まれば一気に逆サイドへ。三脚に固定したカメラでは、この動きについていけません。

シュートが決まった瞬間に何を映すかについては、リアクションショットの記事で詳しく書いています。

体育館の2階席の手すり越しにカメラを構える撮影者

理由2|撮りたい場所に、三脚は立てられない

バスケットボールの撮影では、選手と同じフロアに立ってはいけません。ディフェンス、味方の選手、審判の3つが必ずカメラとボールの間に入るからです。

ですから、高さのある場所を確保することになります。2階席の手すり、ステージの上、そしてバレーボールの審判台。

ここで問題が起きます。2階席の手すり越しに撮ろうとすると、三脚を置くスペースがありません。審判台の上に三脚を立てるのも現実的ではありません。撮影に最適な場所ほど、三脚が置きづらいのです。

どこから撮るのが正解かについては、3つのベストポジションの記事にまとめています。

理由3|1日6試合の現場に、設営と撤収の時間はない

大会の日は、朝から夕方までコートに張りつくことになります。多い日で6試合。試合と試合の間はほとんど空きません。

そこで三脚を使っていたらどうなるか。試合が終わるたびに畳んで、隣のコートへ移動して、また高さを合わせて立てて、水平を出す。1回2〜3分だとしても、6試合分となるとまとまった時間になります。

しかもその移動の最中に、次の試合の第1クォーターが始まってしまうこともあります。撮り逃した1本は、二度と戻ってきません。

手持ちなら、カメラを持って歩いて、構えたらそれで撮影開始です。

理由4|一瞬の判断に、三脚は追いつかない

バスケットボールは、平均して1試合に60点から80点が入る競技です。得点のたびに、決めた選手へカメラを振ります。

このとき動くのは、コンマ数秒の世界です。シュートが放たれ、リングを通り、決めた選手を捉える。この一連の流れの中で、カメラのヘッドを緩めて、振って、また締めて、という操作を挟む余裕はありません。

三脚のヘッドは、なめらかに振るためのものであって、素早く反応するためのものではないのです。

理由5|三脚がなくても、揺れを抑えられるから

そして5つ目。ここが本題です。

ここまでの4つは「三脚を使うと困ること」でした。ですが、それでも三脚を使う人がいるのは、手持ちだとブレると思われているからです。

結論から言うと、手持ちでも気にならないところまで抑えられます。正しくは、抑えるための構え方があります。

そのためにはまず、手ブレというものを正しく分けて考える必要があります。

選手を追ってカメラを横に振る撮影者の後ろ姿

手ブレには、2種類あります

ここが多くの方が見落としているところです。手ブレとひとくちに言っても、性質のまったく違う2種類が存在します。

1つ目|止まっているときの、細かい揺れ

カメラを構えて静止しているつもりでも、画面は小刻みに揺れています。呼吸、心拍、腕の疲れ。これが1つ目の手ブレです。

三脚を買おうと考える方が想像しているのは、たいていこちらです。そして、この揺れはカメラの手ブレ補正機能やレンズの補正機能がかなり吸収してくれます。

2つ目|カメラを振ったときの、大きな揺れ

問題はこちらです。

選手を追ってカメラを振る。速攻について逆サイドへ回す。決めた選手へパッと向ける。この動きの最中と、動きを止めた直後に、映像は大きく揺れます。

止まってからピタッと収まらず、ぶるっと余韻が残る。あるいは振っている最中にガタガタと段差ができる。見返したときに「見づらいな」と感じるのは、ほとんどがこちらです。

そしてバスケットボールは、40分間ずっとカメラを振り続ける競技です。つまり2つ目の手ブレのほうが、圧倒的に多く発生します。

ここに三脚の限界があります。三脚は1つ目の揺れには強い。ですが2つ目、つまり振るときの揺れは、三脚があっても消えません。むしろヘッドの動きに引っかかって、かえって不自然な動きになることさえあります。

脇を締めて両手でカメラを構える撮影者

まぐろさんが導き出した最適解

では、どうすれば振っても揺れないのか。7年間の現場でたどり着いた答えは、3つの原則にまとまります。

1|自分が三脚になる

カメラを両手で構えて、脇を締める。すると、両肘が肋骨のあたりで固定されます。この状態になると、カメラは腕先の不安定な位置ではなく、体幹という一番安定した場所に乗ります。

片手でカメラを持ち、もう片方の手を添えるだけ、という構えでは、ここまでの安定は出ません。三脚を使わないのではなく、自分が三脚になる。この発想の切り替えが出発点です。

2|腕で振らず、体幹で振る

2つ目の手ブレ、つまり振ったときの揺れは、腕で振っているときに起こります。

腕の関節は自由に動くぶん、細かい制御が効きません。振り始めと止め際に必ず余韻が出ます。

そこで、腕は固定したまま、上半身ごと向きを変えます。カメラと腕と胴体が一体になって回る。人間の体で言えば、腰から上が雲台の代わりをするイメージです。これができるようになると、振り始めも止め際も、驚くほど素直になります。

3|疲れさせない。それが一番のブレ対策

意外に思われるかもしれませんが、これがとても大事です。

試合は40分あります。さらに1日に何試合も撮る日は、朝から夕方まで現場にいます。立ちっぱなしで腕を上げ続けていれば、当然、後半になるほど構えは崩れます。

実際、映像を見返して揺れているのは、たいてい試合の後半や、その日の最後の試合です。技術ではなく体力の問題でブレているのです。

ですから、まぐろさんは座って撮ることを基本にしています。座れば下半身の負担がなくなり、上半身の構えに集中できます。座れない現場では、腰への負担を減らす装備を使います。

ブレない構えを覚えることと、その構えを最後まで保てる体をつくること。この2つはセットです。

その構え方、手順まで落とし込みました
バスケットボール
ハイライト映像のつくり方 〜撮影編〜

この記事でお伝えしたのは、3つの原則までです。
指の置き方、体の向きのつくり方、座る場合と立つ場合の装備の選び方。
現場でそのまま再現できるところまで、全8章・84ページにまとめました。

✓ 撮影が未経験でも一人で撮れることを前提に構成
✓ 全8章・全84ページのPDF教材

まぐろさん 教材の詳細を見る ▶

40分間、ブレさせないために

ここまでの話を整理します。

三脚を使わないのは、こだわりや我慢ではありません。個人を追う撮り方に合わない、撮りたい場所に置けない、試合と試合の間に立てる時間がない、一瞬の判断に追いつかない。そして、なくても揺れを抑えられるからです。

手ブレを抑える鍵は、機材だけでなく身体の使い方にもありました。脇を締めて自分が三脚になること。腕ではなく体幹で振ること。そして最後まで疲れない体勢を選ぶこと。

機材の力も、しっかり借りています。カメラ本体やレンズの手ブレ補正は、細かい揺れをかなり吸収してくれます。そのうえで、振ったときの揺れを抑えるのが身体の使い方です。どちらか一方ではなく、両方がそろって初めて安定します。どの機材が向いているかは、機材7種類を比較した記事にまとめました。

そして、ここまで読んで「実際にどう構えればいいのか、もっと具体的に知りたい」と思われた方もいるはずです。指の置き方、体の向きの作り方、座る場合と立つ場合の装備の選び方。この記事では原則までをお伝えしましたが、現場でそのまま再現できるところまで手順に落とし込んだものを、教材にまとめています。

その構え方、手順まで落とし込みました
バスケットボール
ハイライト映像のつくり方 〜撮影編〜

この記事でお伝えしたのは、3つの原則までです。
指の置き方、体の向きのつくり方、座る場合と立つ場合の装備の選び方。
現場でそのまま再現できるところまで、全8章・84ページにまとめました。

✓ 撮影が未経験でも一人で撮れることを前提に構成
✓ 全8章・全84ページのPDF教材

まぐろさん 教材の詳細を見る ▶

まとめ

1日6試合を撮り切っても、三脚は使いません。理由は5つありました。

個人を追いかけられないから。撮りたい場所に立てられないから。設営と撤収の時間がないから。一瞬の判断に追いつかないから。そして、なくても揺れを抑えられるからです。

手ブレには2種類あって、バスケットボールで問題になるのは「振ったときの揺れ」のほうです。これは三脚では解決しません。効いてくるのは、脇を締めて体幹で振るという身体の使い方です。

三脚を買う前に、まずは構え方を見直してみてください。同じカメラのまま、映像は変わります。

選手が体育館で見せた輝きは、その日限りのものです。ブレて見づらい映像では、せっかくの一瞬が伝わりません。しっかり止まった映像で残してあげてください。それが何年か経ったときに、選手本人にとっても、支えてきたチームにとっても、宝物になります。

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