2日間8試合が消えかけた実話|バスケ動画 撮影の失敗2つと対策3つ
7年間、バスケットボールの撮影を専業で続けてきました。その中で、心から「終わった」と思った日が2回あります。
どちらも、撮影そのものに失敗した日ではありません。撮る前と、撮り終えた後に起きたことです。
1つ目は、大会前日の夜にレンズが手元になかったこと。2つ目は、北海道まで行って撮った2日間8試合分のデータが、読み込めなくなったことです。
どちらも、あらかじめ知っていれば避けられました。そして避けるために必要だったのは、技術でも高い機材でもなく、たった数分で変えられる運用の見直しだけでした。
この記事では、その2つの話を包み隠さず書きます。読み終わったあとに「今日のうちにカバンの中を見直そう」と思ってもらえたら、それがこの記事の役目です。
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まぐろさん
正直に言うと、この2つは今でも思い出したくない話まぐ。でも黙ってても誰の役にも立たないから書くまぐ!

1つ目|大会前日の夜、レンズが手元になかった
自分が主催する大会の、前日のことでした。
会場の近くのホテルに前泊して、翌朝から撮影本番。準備は済ませたつもりでした。ベッドに入って、あとは寝るだけという時間になって、ふと嫌な予感がしました。
レンズを、家に置いてきたかもしれない。
カバンを開けて、確定した
慌てて起き上がって、カメラバッグを全部開けました。カメラはある。バッテリーもある。SDカードもある。
レンズだけが、ありません。
当時、私は機材をできるだけ良い状態で保管したくて、レンズだけを防湿庫に入れて別管理していました。撮影に出るときは、防湿庫を開けてレンズを取り出し、カバンに移す。その1ステップが必要な運用にしていたのです。
その日、出発前にそのステップを飛ばしていました。
車で往復4時間、寝ずに本番へ
翌日は朝から撮影です。しかも自分が主催している大会ですから、欠席するという選択肢はありません。
結局、その日の夜に車で家まで戻り、レンズを取って、またホテルへ帰ってきました。往復で4時間。睡眠時間を削って、ほとんど眠れないまま本番の朝を迎えました。
撮影自体はやり切りました。ですが、一日中コートに張りついて何試合も撮る現場で、寝不足の状態がどれだけ不利か。これは実際にやってみると本当によく分かります。構えは崩れますし、判断も遅れます。
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まぐろさん
往復4時間、行きの2時間はずっと自分を責めてたまぐ…。帰りの2時間は「明日どうやって乗り切るか」しか考えてなかったまぐ。
原因は「うっかり」ではありませんでした
この失敗のあと、しばらく自分を責めました。なぜ確認しなかったのか、と。
ですが冷静に考えて、結論が変わりました。悪かったのは私の注意力ではなく、運用のほうだったのです。
機材が2か所に分かれていれば、いつか必ず片方を忘れます。今回はたまたま前日の夜に気づけただけで、会場に着いてから気づいていた可能性も十分にありました。そうなっていたら、大会そのものが記録に残らなかったかもしれません。
「今度から気をつけよう」では、この失敗は防げません。気をつけていても、人間は忘れるからです。必要だったのは、忘れようがない状態にすることでした。

2つ目|2日間8試合分が、読み込めなくなった
もう1つは、北海道への遠征でのことです。
2日間で8試合を撮影する予定でした。飛行機で移動して、宿を取って、機材を運んで、2日がかりで撮り切る。撮影者としてはかなり大きな仕事です。
8試合目の直後に起きたこと
最後の試合、8試合目を撮り終えました。あとは帰るだけ、というタイミングでカメラを確認したときです。
SDカードが、読み込めなくなっていました。
カメラ本体で再生しようとしても表示されない。ホテルに戻ってパソコンにつないでも、認識されない。何度抜き差ししても同じでした。
失ったかもしれないのは、データだけではありません
あの瞬間のことは、いまでもはっきり覚えています。一瞬で血の気が引きました。
北海道まで行って、2日間かけて撮った8試合。それが全部消えたかもしれない。
頭に浮かんだのは、データという言葉ではありませんでした。かけた遠征費のこと。出演してくれたチームへの責任。そして何より、全力でプレーしてくれた選手たちの姿を、私が失ってしまったということ。
撮影の仕事は、その日その場所にいた人にしか撮れません。もう一度集まってもらって撮り直す、ということができない仕事です。あの絶望感は、7年間で一番きついものでした。
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まぐろさん
血の気が引くって、こういうことかと思ったまぐ。北海道まで行って、選手が全力で戦ってくれたのに、それを自分が消したのかと思ったまぐ…。
9割は戻ってきました
その後、データ復旧の業者に依頼しました。結果として、9割ほどのデータを救い出すことができました。
費用は15,000円です。
この金額をどう感じるかは人によると思います。ただ私にとっては、知ってさえいれば払わなくてよかったお金でした。SDカードに寿命があると知っていれば。1枚のカードに2日分を集中させていなければ。それだけで、この15,000円も、あの数時間の絶望も、まるごと避けられました。
そして、9割戻ってきたのは運が良かっただけです。壊れ方によっては、費用がもっとかかることも、1円も戻らないこともあります。どこまで戻るかを決めるのは業者ではなく、壊れ方です。そして壊れ方は、こちらでは選べません。
お金は、あとから取り戻せます。でも、あの2日間はもう二度と撮り直せません。
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まぐろさん
15,000円が高いか安いかじゃないまぐ。知ってさえいれば、1円も払わなくてよかったお金まぐ。
SDカードは、いつか必ず壊れます
この一件で分かったのは、SDカードは消耗品だということです。
SDカードには書き込み回数の上限があります。使い続ければ、いつか必ず読み書きができなくなる。これは使い方が悪いという話ではなく、技術的にそういうものだという話です。避けることはできません。
つまり、壊れるかどうかを心配しても意味がありません。壊れたときに何試合分を失うか、そこだけがこちらで決められることです。

2つの失敗が、同じことを教えてくれた
まったく別の失敗に見えますが、この2つには同じ原因があります。
分散していたことです。
レンズの件は、機材が防湿庫とカバンの2か所に分散していました。SDカードの件は逆で、2日分のデータが1枚に集中していました。方向は逆ですが、どちらも置き場所の設計を間違えていたという点では同じです。
そして、どちらも「気をつける」では防げませんでした。前日の夜に何度確認しても、防湿庫にレンズがある限り忘れる可能性は消えませんし、どれだけ丁寧に扱っても、SDカードの寿命は来ます。
撮影の失敗は、注意力ではなく仕組みで防ぐものだと、この2回で学びました。
ハイライト映像のつくり方 〜撮影編〜
この記事でお伝えしたのは、失敗の話と考え方までです。
何をどこに入れて持ち出すか、データをどう残すか、撮影当日までに何を決めておくか。
現場でそのまま再現できるところまで、全8章・84ページにまとめました。

同じ目に遭わないための、3つの仕組み
この2回のあと、運用を変えました。いまも続けている3つです。どれも今日から始められます。
1|機材はひとつのカバンに集約する
レンズの防湿庫での別管理は、やめました。
いまは、撮影に使うものを全部ひとつのカバンに入れています。カメラ、レンズ、ハンドグリップ、ストラップ、SDカード、外付けのハードディスク。全部です。
そのカバンさえ持って出れば、それで準備は完了。持ち物を分散させない。つまり、忘れる対象そのものを作らないという考え方です。
保管の理想を追いかけるより、忘れないほうが大事だと判断しました。どれだけ良い状態で保管していても、現場に持って行けなければ意味がありません。
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まぐろさん
レンズだけ防湿庫って、当時はすごく意識が高いことをしてるつもりだったまぐ。実際はただの「忘れる仕組み」だったまぐ…。
2|データを1枚に集中させない
SDカードの運用は、次のように変えました。
- 複数枚でローテーションする:1枚に依存しないことで、壊れたときの被害を分散できます。
- 大会ごとにカードを分ける:ひとつの大会のデータが1枚に収まるようにします。編集のときに探しやすくなりますし、壊れても被害がその大会だけで止まります。
- 2枚同時に記録できるカメラを使う:カードスロットが2つあり、同じ映像を2枚に同時記録できるカメラがあります。撮りながらバックアップが取れるので、これが根本的な解決策になります。
いま使っているのはサンディスクのカードで、容量は256GBです。1試合はおよそ45分で5〜6GBなので、容量にはかなり余裕があります。1枚につき4〜8試合、つまり1つの大会分を入れる運用にしています。
3|完成した映像は、ハードディスク2台に残す
編集が終わった完成映像は、外付けのハードディスクに保存しています。8,000円程度のもので十分です。
ただし、ハードディスクにも寿命があります。ですから必ず2台に同じデータを入れます。1台が壊れても、もう1台が残ります。
あわせて、撮影素材は全部は残していません。完成した映像だけを残す運用です。素材を全部抱えていると保存先がいくらあっても足りませんし、本当に守るべきものが埋もれてしまいます。
この3つの共通点
どれも、判断を当日に持ち込まない工夫です。当日の自分は疲れていて、確認する余裕もありません。前もって決めておけることは、全部前もって決めておく。それだけで、防げる失敗はかなりあります。
そして、データ復旧の業者は最後の手段です。頼らずに済む運用を先に作っておくのが理想だと、いまは思っています。
まとめ
2つの失敗を書きました。
大会前日の夜にレンズが手元になく、車で往復4時間かけて取りに帰ったこと。北海道遠征の8試合目でデータが読み込めなくなり、全部消えたと思ったこと。
どちらも、注意力の問題ではありませんでした。機材を2か所に分けて置いていたこと、2日分のデータを1枚に集中させていたこと。原因はどちらも運用のほうにありました。
だから対策も運用で組みます。機材はひとつのカバンに集約する。データは1枚に集中させない。完成映像はハードディスク2台に残す。この3つだけで、私が味わった思いは避けられます。
失敗そのものをゼロにすることはできません。ですが、失敗したときにどれだけ失うかは、事前に決められます。
選手が体育館で見せた輝きは、その日限りのものです。撮り直しはききません。だからこそ、撮る技術と同じくらい、残す仕組みを大事にしてほしいと思っています。
ハイライト映像のつくり方 〜撮影編〜
この記事でお伝えしたのは、失敗の話と考え方までです。
何をどこに入れて持ち出すか、データをどう残すか、撮影当日までに何を決めておくか。
現場でそのまま再現できるところまで、全8章・84ページにまとめました。
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